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埼玉県戸田市の無人の寺から仏像を盗んだとして、県警捜査3課は17日、住所不定、無職、藤田秋美(あきよし)容疑者(56)を窃盗容疑で逮捕した。9月下旬、他に県内や栃木の4寺院で仏像6体が盗まれており、県警は関連を調べる。被害に遭った寺院の大半は無人だったため、県警は防犯対策をとるよう呼びかけている。

【バラバラになって転がっていた仁王像】

 逮捕容疑は9月30日~10月1日、戸田市美女木の寺院から仏像1体を盗んだとしている。容疑を認め、「こんなに早く逮捕されるなんて罰が当たったのだと思う」と供述しているという。藤田容疑者は骨董(こっとう)品屋やリサイクル店などに仏像計6体を売却していたといい、県警は常習的に盗品を転売していた疑いがあるとみている。

逮捕容疑の被害寺院は住宅街の一角にあり、50年近く無人という。檀家(だんか)の萩原和省(かずみ)さん(71)が見回りのため本堂を訪れると、入り口のドアの内ノブが壊されており、被害が分かった。仏壇中央にあった仏像がなくなっていたほか、盗み出す際に転倒したのか、バラバラに壊れた仁王像が散乱していた。萩原さんは「願いごとを聞いてくれる神様を盗むなんて、罰当たりだ」と話す。

無人寺は檀家が持ち回りで訪問するなどして管理されているが、防犯対策が課題だ。戸田市の寺院では萩原さんが毎日、見回りやごみ拾いをしている。堂内は施錠しているが、度々さい銭を盗まれ、寝泊まりする人を見つけたこともあった。被害に遭う度に本堂の引き戸の鍵を増やすなど対策に追われた。

 文化庁の統計によると、県内には約2200の寺院があり、無人寺も相当数あるとみられる。県警生活安全総務課の担当者は「人目の届かない寺ではさい銭盗や放火、建造物侵入の被害に遭う可能性がある」と指摘。こまめに清掃する▽敷地を囲いで覆い、施錠する▽不審者の足音が鳴るように防犯用の砂利を敷く▽夜間はライトで照らす――といった対策の必要性を指摘している。

2020年11月17日 17時18分
https://news.livedoor.com/lite/article_detail/19236725/